初めてのホームムービー上映会の日

子どもが嬉しそうにポップコーンの袋を抱えて走り回り、母は部屋の明かりを少し落とす。
まるで小さな映画館ができあがっていくようだ。

リビングの中心に置かれたソファ。
オーク材のフレームは穏やかな存在感を放ち、ブークレ生地の柔らかな質感が光を受けてほんのりと陰影を描いている。
座面に腰を下ろすと、ふっくらとしたクッションが背中をやさしく包み込み、自然と体の力が抜けていった。

スクリーン代わりの白い壁にホームビデオの映像が映し出される。
最初に流れたのは、子どもがまだ幼い頃の運動会や引っ越ししてきた日にソファで遊ぶ子供の記録。

ソファはそのときから、家族の時間を静かに支え続けてきたのだと改めて気づかされる瞬間だった。

映像が進むにつれて、子どもの誕生日、旅行の帰り道、雪の日のリビング
数えきれない日々がスクリーンに映し出されていく。
その一つひとつに笑いがあり、ときには涙もあった。

ソファに寄り添い合いながらその全てを振り返る時間は、どんな映画よりも胸に残るものだった。

やがて映像が終わり、部屋に静けさが戻る。
しかしそこには、ソファのぬくもりに包まれた心地よい沈黙があった。
子どもは父の肩に寄りかかり、母は深く座り込んだ。

家族は自然と笑顔になった。

家具は、ただ座るためのものではない。
このソファは、その夜“家族の記憶を映すスクリーンの一部”となり、笑いと涙を受け止め続ける舞台だった。

Reel — 家族の時間を巻き取り、何度でも紡ぎ直すソファ。
3人で行った旅も特別な記念日の笑顔も、ここからまた映し出される。